精気の虚

病は精気の虚から始まる 五臓(肝心脾肺腎)それぞれに蔵されている気を精気といいます。虚とは、欠けている状態です。精気が欠けている、足りていないのです。
たとえ生まれたての赤ん坊でも、元気いっぱいの若者でも、精気の虚は必ず誰にでもあります。
気血は、陰と陽のバランスが若干傾いていなければ循環しません。どちらも同じだけある平衡状態であれば静止したまま、どちらにも振れることがなく動きようがないのです。
正円ではなく、わずかな欠けがある状態こそが完璧な姿なのです。
病は、精気の虚の度合いに病因となる事柄が加わって起こります。同じ程度の病因が加わっても、精気の虚がわずかな人は発症しない一方で、精気の虚が大きい人は発症してしまいます。
そうすると、持って生まれた精気の量が、生命の長短や健康寿命に直結するかというと必ずしもそうとは言えません。
もともと強い人はその自覚ゆえに無理をしがちで大病を招き、もともと弱い人はその自覚ゆえに何かあると崩れやすい体調を自ら観察し、自重し、養生しがちなため生命を全うすることが多いものです。
どんな方でも、養生や鍼灸治療で発病の手前からケアしていくことをおすすめします。

この記事を書いた人

広島市在住。鍼灸師としてココロとカラダのアシストをするとともに、呼吸法や坐禅を取り入れ、トータルでのケアを実践しています。

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