東洋医学から見ると、産後のカラダは、気、血ともに消耗した状態にあり、特に血は物量の面からモノの量が極端に減ってしまっています。妊娠中の胎児への栄養供給、出産時の出血、その後の母乳育児などで血を消耗するからです。
この血はすぐに補填できるものではありません。血の消耗に対して重要な養生のひとつは、極力、目を使わないことです。目を使うためには、燃料として非常に多くの血を必要とします。ですから、床の上で長い時間、携帯やスマートフォンを見ていれば、血は補充されず、カラダの回復が遅くなります。
昔から経験的に「産後の床上げ」として、約1か月の療養期間が設けられていました。また、戦後もしばらくは、農山漁村では、「産屋(うぶや)」と呼ばれる出産のために使われる小屋で出産が行われ、出産後も一定期間(21〜75日間)、産婦が過ごす風習がありました。
京都府福知山市三和町に残された産屋を見学したことがありますが、田圃の隅にあって小さく簡素な作りで、昼間でも中は薄暗いものでした。産屋において地域の女性たちは、産婦を支える共同体としての助け合いを行いました。
産屋は伝統的には「血の穢れ」を避けるため産婦を隔離するために使用されましたが、実際には出産後の女性が自宅を離れて家のことを煩うことなく十分に休養を取り、肉体的・精神的な安定を促す場所として機能しました。
現代は、便利になった一方で身の回りにモノが溢れ、じっとして回復する時を待つことが苦手になっています。自分では体力があり、元気と思えてもカラダはこたえています。すぐに動くことを控え、床についてじっくりカラダを回復させましょう。
産後の養生
